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自分の時間を連れてくる、夜空の色。

aonibi.

先日山吹色を使う機会をいただいた時に個人的に気になった色もふたつ、手に入れました。 今回選んだのは、「青鈍/あおにび」という名のインク。 色味を気に入ったことはもちろんなのだけれど、その向こうの物語を想像させてくれる名前にも惹かれました。 実際のインク液はやはりフレッシュ感があり、ガラスペン越しで透けているおかげもあるのかパッケージの色の渋さよりもペン先に青を鮮やかに感じました。色の彩度が高いと書く時の気分も高まるような気がする。 紙に書いて乾いた後は深い青=ネイビーという単純な予測とは異なり、確かに説明の通り「薄墨に藍を加えた色」の言葉がぴったりの色彩。 細いガラスペンの線の上にしっかり色の濃淡が感じられ、落ち着いたトーンで使いやすさもありつつも確かに青さを感じるインクです。






青鈍空に浮かぶ月。静かに月明かりを受け佇む京の町。青鈍は青みある鈍を指し、淡墨に藍を加えた色です。深く淡い夜空の色が凛とした空気を表現します。 TAG STATIONERY 京の音 / 青鈍









夜空は心を解き、開放できる「自分の時間を連れてくる色」なのかもしれません。



このインクの名前を読んだ時、昔聞いた音楽の歌詞に「鈍色の月」とあったことを思い出しました。 手の届かない場所だからこそ、思いを馳せることは自然なことなのかもしれません。

空とは真逆の地中に潜み、一見、天体との関わりがないように思える天然石の呼び名を通じてもその感覚を知ることができます。 真珠を「月の雫」と呼んだり、ムーンストーン(月長石)が古来、月の光を宿していると信じられていたり。紀元前の古い時代には満ち欠けを繰り返す月に、変化、受動性、女性、母性、想像力、豊かな感情の象徴の意味を持たせてかたちあるものに重ねた文化があったそうです。 毎夜見ることが出来る空に、物語を重ねたくなる人の心はいつの時代も変わらないのだなと思います。 夜は思いを巡らせたり、静かに考えることができる時間。ではどうして夜に心を開放するイメージがあるのでしょう。




リラックス反応では、副交感神経系とよばれる自律神経系が活動する。(中略) 私達は、昼間、活動しているときは、交感神経系の活動が優位であり、夜、睡眠している間は、副交感神経系の活動が優位になっている。 在外教育施設安全対策資料【心のケア編】 文部科学省



目には見えないけれど、人間は1日を通して交感神経系と副交感神経系とを切り替えることで活動と睡眠(休息)のバランスを取っているようです。夜には心も身体もリラックスできることを本能で分かっているということ。 リラックスする時間だからこそ自分の思いや考えを開放しやすいということのようです。 空や海のような自然の明るい青色に癒されることはあると感じていたけれど、暗くなった夜の深い青さの中でも知らずのうちに癒されているのだと思うと冬の長い夜の時間が一層魅力的に思えてきました。

他の色のお話も、また。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ インク: TAG STATIONERY 京の音 青鈍/あおにび https://store.tagstationery.jp/collections/kyonooto/products/ko-0105

ガラスペン: TAG STATIONERY インクを楽しむガラスペン(F/細字) https://store.tagstationery.jp/collections/glass-dip-pen/products/glasspen_01 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【参考文献・Webサイト】 ・文部科学省:在外教育施設安全対策資料【心のケア編】 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010.htm

・山中茉莉 著 (2007年)『星座石 守護石-パワーストーンの起源』八坂書房 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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